盛岡市民文化ホール・展示ホールで開催中の生誕250年記念展「北斎の富士?富嶽三十六景と富嶽百景」は、江戸時代の浮世絵師葛飾北斎(1760?1849年)が富士を描いた二大連作が県内で初めて一度に鑑賞できる。監修の月本寿彦さん(山形美術館主任学芸員)にコレクションの特徴や北斎の魅力を聞いた。
監修月本さん(山形美術館主任学芸員)に聞く
▼ 着飾北斎の富士の連作はさまざまなコレクションがある。
「国内美術館で【『三十六景』をフルセットで持っているところは多くない。そういうものは今まで何度も紹介されている。今回は当館とつながりのある個人の所蔵で金庫にずっと眠っていた作品」?「三十六景」は人気があり多く刷られたため刷りの状態や配色の異なるものが多い。
「最初の刷りは絵師が立ち会い、絵師の発想した色彩が反映されるが、その後は版元や刷り職人の都合で変わることが多い。今回のものは初刷りや、それに近いものが多く、絵師としての力量、色彩感覚など北斎芸術の中心部分をつかむことができる」
▼ 北斎の代表作といえる富士連作の見どこをは‥
「北斎は90歳まで生き、たくさんの浮世絵を描いている。『三十六景』のイメージが強いが風景画(名所絵)は意外に少ない。富士の形や色彩の絶妙な調和、インパクトのある色彩構成などに北斎の魅力を見ることができる。(『東海道五拾三次之内』を描いた)歌川広重より叙情的ではなく、中国絵画の影響を受けて構成に気を使っている分、固い印象がある。北斎の構図の絶妙なバランスや富士山のあしらい方の妙は今でも通用する」
▼ 特に注目したい作品は。
「『従千住花街眺望ノ不二(せんじゅかがいよりちょうぼうのふじ)」には、隊列が担いでいる袋が赤い色とすれば、盛岡藩の参勤交代が描かれている。火縄銃を覆う赤い『猩々緋(しょうじょうひ)』は盛岡藩にのみ許されたもの」
 掲載写真は「岩手日報」紙より転写させていただきました。
「『甲州石班澤(こうしゅうかじかざわ)』は初刷りと断定していいほど。線のシャープなところや岩肌の表現が繊細で美しい。この時代の藍色ははっきりした色調の合成絵の具が使われているが、天然藍を使っているような色の違いがある」
▼ 展示方法にも工夫がある。
「『三十六景』の額は特殊な方法で端から端まですべて鑑賞できる。海外に出たものは余白が切られる傾向がある。今回は国内に伝わり余白が残っているものも多く、原形に近い」
「『百景』は本のため通常は見開き分しか展示できない。今回は本をばらして1図ずつ額装した。北斎は画という形式を意識し、連続した図柄をテンポ良く飽きさせないように工夫している。両方の全図を一度に見ることができるのは非常にまれな機会だ」
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同展は10月17日まで。開館時間は午前10時から午後5時。休館日は月曜(10月11日は開館)。入場料は一般・大学生800円、小・中・高校生300円。
「岩手日報」平成22年9月21日
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