平成21年8月15日
賢治ゆかりの地に古書店
矢巾温泉にオープン
ネット注文にも対応



 矢巾町煙山の矢巾温泉郷に、古書店「イーハトーブ本の森」(高橋征穂店長)がオープンした。高橋店長(67)は盛岡市などで古書店を経営してきたが、インターネットの古書販売の普及を受け、市街地ではなく宮沢賢治ゆかりの南昌山ふもとに立地を決めた。温泉旅館を改装した店内は約10万冊の蔵書に、どこか懐かしい雰囲気が漂う。全国からのネット注文に対応するほか、温泉郷の活性化も目指している。

 イーハトーブ本の森は南昌山登山道入り口の矢巾温泉郷に9日(8月)オープンした。温泉旅館だった木造三階建ての建物を改修し、各階に本棚を設置。賢治や石川啄木の作品、郷土史、本県ゆかりの書籍を多く取りそろえる。

 高橋店長長は盛岡市上ノ橋町で古書店「上の橋書房」を約15年聞経営した後、北上市などでも店を開いた。近年の古書業界は店舗が減少する一方、インターネットの活用が浸透し、販売形態が変化している。

 「高い家賃を払い、市街地にいても意味がない」と痛感した高橋店長は、賢治が中学時代に友人と訪れたとされる南昌山のふもとを新店舗に決定。昨年暮れから開店準備を進めてきた。

 国内最大の古書販売サイト「日本の古本屋」に登録し、全国からの注文に対応。来年以降には独自にホームベージを開設し、さらに販売体制を強化する。

 古書探しに訪れたが温泉にも足を運び、地域一帯が活性化することも目指す高橋店長は「地方文化を発信するとともに、くつろげる癒やしの森のような場所にしたい」と意欲を示す

「岩手日報」平成21年8月15日



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