平成16年11月28日
昔の人はすごかった
地域流れる越前堰を研究 滝沢村の篠木小と盛岡市の土淵小 交流総合学習発表会



 本県最古の農業用水路といわれる越前堰(ぜき)に関する交流総合学習発表会(越前堰土地改良区の主催)は先日、滝沢村立篠木小学校(斉藤悦子校長)で開かれた。盛岡市立土淵小学校(細野龍彦校長)の5年生、篠木小学校の4年生が研究した成果を披露した。  篠木小の児童63人は、校歌に歌われる越前堰の歴史、工事の期間や当時の様子について学んだ。浪曲師風に越前堰を解説したり、写真や地図で紹介したり。当時の道具を使った作業を再現するなどした。  越前堰は今から428年前の1576年に完成した。水不足にあえいでいた農民たちが、雫石城主に仕えた綾織越前広信の指揮により、34年の歳月をかけて作られたという。重機のなかった時代に工具を使って作業した苦労に思いをはせた。  雫石町の岩手高原スノーパーク東側の白川沢を源流に、鞍掛山までの妻神沢、クルミ沢など大小の沢の水を掘削と盛り土でせき止め、横堰から越前堰を通して村内に引いた。全長は36キロメートルある。  堰の完成で水田面積は50ヘクタールから380ヘクタールと飛経的に伸びた。「水田はぼくたちの校庭の380個分。暮らしを豊かにしてくれた。毎年子供会活動で清掃をしている。いつまでも守っていきたい、昔の人に負けないよう頑張る」と宣言した。  土淵小の20人は総合的な学習の時間で米作りに挑戦。稲作に欠かせない水について、越前堰を取り上げた。綾織広信と地元住民が堰を完成させるまでの奮闘する姿を劇で紹介。  山ろくの豊富な雪解け水を活用し、雫石にある下流の集落の水源を奪わないよう、幾つもの沢から少しずつ水を引こうと考えた綾職広信の知恵、長期間の工事にもめげず完工させた功績をたたえ「志を受け継いでいこう」と誓った。  両校はそれぞれの学習を重ね、今年7月には社会人講師の解説を受け、源流の白川沢や玉山村・岩洞ダムから水を引いた滝沢村の円筒分水工を見学した。  篠木小の大久保慶彦君、須藤祐樹君は「劇で越前堰のことが分かつてすごいと思った」「面白かった」と感想を話した。土淵小の田中哲史君は「越前堰が36キロメートルあると学習で知ってすごいと思った」、斉藤葵さんは「学習で越前堰、広信を初めて知ることができた」と収穫を喜んでいた。

「盛岡タイムス」平成16年11月28日

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