21 参考諸家系図 さんこうしょかけいず

編者 星川正甫

 【藩士の由緒・所務】

 盛岡市中央公民館所蔵・南部家旧蔵文書。岩手県立図書館(写本)にもある。
     八七巻        (盛中29・1一71)


【史料の概要】

 文久年間に編纂された盛岡藩士諸家の私撰系図集。三千二百五十二家を収録している。

 凡例によれば、「系胤譜考」六十五巻を中心に、「晋士系鑑」十四巻、「諸家系図」十巻、「御家中由緒」三十巻、「奥南世臣系譜」三十二巻、「諸士譜」二巻を以て校訂増補したとある。

【史料批判・雑感】

 編者による「対象とした諸士系図は何れも各自の家の所伝に任せられ、寛保元年以前については、必ずしも正史による全面校訂はしていない」との断わりが冒頭にある通り、まま正史に照らして明らかに年代矛盾を有するもの。例えば「雑書」に生存が確認されながら、欠落しいてる者、家督・没年が異なるものなどが散見する。諸士由緒書上(藩庁一次史料)に照らして実際上は名乗っていない名前を記載している例もある。その他、慶安二年の書上と符号しないものや)が、同族と認めていない家が兄弟叔父甥の関係で記載している例もある。改訂理由を明示していないほか、各家の頭註(文久元年の当住名)が重複記載されている所も数ヵ所に認められるなど資料的限界を露呈していることは否定できない。しかし、系胤譜考以後の書き継ぎが認められるなど諸家の家系を知る上で、また広く近世盛岡藩の歴史を紐解く上では不可避・貴重な資料であることに間違いはない。但し活用するに当っては細心の注意を払い、他資料による傍証が肝要である。

【刊本】

 国書刊行会より 『南部藩参考諸家系図』五冊が出版されているが、巻三十二「女鹿系図」、巻三十五「美濃部系図」、巻五十九「中野系図」その他の箇所に、部分脱落・他系図混入等が散見することを付記しておく。

【著者・著書等】


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