11 仮名附帳 かなつけちょう

長嶺将在写本


【郷村・祖税】

 岩手県立図書館所蔵、新渡戸文庫。同館郷土資料目録には『盛岡藩郷村仮名付帳』で登録されている。(県図新22一66)

【史料の概要】


享和三年二月改訂を以て幕府へ書上げた記録で長嶺将在による写本。通別に区分して郷村名に仮名がふられ、『内史略』巻二十二には『御領分中本枝村付并位付』として収録されている。当然、『内史略』が活字化されているため、『御領分中本枝村付并位付』を活用している人が多いようである。各郷村について、平地・山際・山間地・沢地・海辺などの別、本村・枝村の別家数、往還筋の有無、駅場などを記載する

【史料批判・雑感】

安永九年改家数・寛政九年改の馬数、その他を伝える『邦内郷村志』などともに、当時の状況を知る上で得がたい記録である。ここで一言を付すならば、『御領分中本枝村付并位付』を使用する際に、必ず『仮名附帳』と対比すること、誤写なり脱漏に気づかれると思う。同様に『邦内郷村志』を使用する場合も、必ず通別小計が附されいるので、単に該当する村の数値を拾うことをせず、労を厭わず最小限その単位の小計とを照合した上で、納得して使用することをお勧めする。かなつけ帳には、盛岡市中央公民館に『陸奥国郡村仮名付帳』文化元年(盛中28・1一020)、『郷村仮名付帳』文化四年(盛中28・1一021)などがあるほか、関連記録として、税務大学校には『御領知目録・高辻帳・郷帳文字吟味帳』が所蔵されている。幕府へ書上た各記録の微妙に違う筆記体を書き並べ比較した記録である。ここで取り上げた「仮名附帳」は全地名にルビが附されているが、難読、誤読の可能性があるものヵに限って附しているものもある。

【刊本】

『内史略』に『御領分中本枝村付并位付』の書名で収載されている。


盛岡藩郷村仮名付帳参照


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